2019 年間ベストアルバム 25


今年は25枚。



25. DJ SPEEDSICK - Nothing Lasts

アンビエント?ニューエイジ?知るかボケー!っていう気分の時や、息子が「夏休みの宿題ちゃんとやってるよ!」ってキレてたくせに実は大してやってないことが発覚したときのテーマソング。現代に蘇るレイヴ、ハードテクノは、耳もスピーカーも粉砕する。
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24. V/A - Cipher

元々はイベントとして、そして2018年からはレーベルとしての活動も始めた C.A.N.V.A.S. のコンピレーション。新進気鋭のアーティストたちによるフィールドレコーディングや即興といった手法だったり、音楽の波形や龍安寺の石庭、仏教の精神などからインスピレーションを得て制作されたトラックは、どれも新鮮で刺激的。
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23. KOHH - UNTITLED

今回初めてちゃんと聴いて「はー!なるほど!かっこええな!」って。
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22. Ulrich Troyer - Dolomite Dub

オーストリアの機材偏愛家の新作は、自身がハイキングをしたドロミテ山脈を音楽で表現している。ベジタブル・オーケストラのメンバーでもある彼は、他の数人のメンバーの協力を得て、アコースティックとエレクトロニクスによるミニマルなダブを作り上げた。忙しなく音が鳴り続けているのにゆらゆらとした没入感があり、気付けば最後まで聴いてしまう不思議な魅力を持った作品。
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21. Various - Jambú e Os Míticos Sons Da Amazônia

Analog Africa は主にアフリカの音楽を扱うレーベルなのだけど、本作の舞台は1970~80年代のブラジル。アマゾンと大西洋に面したブラジル北部の都市で、港を介してコロンビアやカリブの島々、西アフリカなどから入ってきた宗教・文化と共に発展した音楽・カリンボー。陽気なエネルギーに満ち、大衆音楽として愛されたカリンボーは、2019年の夏の記憶のひとつ。
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20. Geins't Naït - Archives 1-3

フランスのインダストリアルデュオ Geins't Naït の1986~93年までの音源をまとめた本作は、聴いていてリラックスするとか家族旅行の車中で聞くような音楽では決してない。けれど、ゆったりとしたテンポで奏でられるインダストリアルとそれに相反するようなトライバルサウンド、感情を叩き付けるようなボーカルは、荒んだ心を癒すのに必要なのだ。
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19. E-Saggila - My World My Way

今年は静かな音楽を聴くことが多くて、その反動でうるさい音楽も聞きたくなる。これまでの激しいインダストリアルテクノからさらにメタル的なシャウトやノイズだらけのガバやブレイクコアなど、より激しさと速さを増しつつアルバム作品としてのバランスも保つ。彼女のルーツ(イラク出身)を感じさせるオリエンタルなフレーズがアルバムに散りばめられることで、個性も発揮され飽きることなく長く楽しめた。
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18. FKA twigs - MAGDALENE

前作『LP1』はいまだに聞いてないんだけど、当時色んな評判を見ていて「Arca が凄い」的な言葉を多く目にして、ああ、次はないんだろうなって思ってすみませんでした。聴いてると涙が出そうになる。
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17. James Rushford - The Body's Night

心地良い夢の世界へ連れて行ってくれそうなアートワークのくせして案外そうでもない。フィールドレコーディングと様々な楽器の演奏によるエレクトロアコースティック。音楽は色々な世界へ連れて行ってくれるけど、このアルバムは何ていうか音との距離が近くて、衣擦れや人の声も相まって自分の体の中で音が鳴っているよう。ヘッドホンで聴くと、より一層一人の世界へ。
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16. Kate Carr - Heatwave

今年の夏もそれなりに暑かったけれど、それ以上に記録的な猛暑に見舞われたロンドン。要注目のインドネシアのレーベル Hasana Editions から届いたのは、フィールドレコーディングを主とした、猛暑のロンドンの街角や個人をクローズアップしたものだ。どの曲も気怠さを感じるような、どんよりとした低音が響いている。まるで揺らめく陽炎か、うだる暑さにやられて意識が朦朧としているかのようだ。
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15. Lamusa II - Sulfureo

酒に酔っているかのように揺れるシンセの音色と、エキゾチックで湿っぽいパーカッションは、木々が生い茂るジャングルを想起させる。こういったサウンドはバレアリックやニューエイジと親和性が高く、癒し?のキラキラしたイメージに寄って行きがちだが、神秘的でありつつ薄気味の悪さと現実感を持ち合わせた抜群のバランスを突いている。
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14. Brittany Howard - Jaime

2015年の Alabama Shakes のアルバムで初めて知ってなかなか衝撃的だった。歌い方と歌声がただただ好き。
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13. Maenad Veyl - Body Count

主宰するレーベル VEYL からリリースされた1stアルバム。EBM的な血生臭さを感じるインダストリアルテクノが否応なく両耳を圧迫する。次第にEBMのロックの側面が前に現れ、「Silent Blood」の冒頭のドラムでありがとうございますという感じ。アルバムの途中にインタールード的なトラックがなく、勢いを保ったまま最後まで駆け抜ける点も素晴らしく、それでいてテクノとEBMのバランスや曲順の配置もとても好き。
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12. Saba Alizadeh - Scattered Memories

イラン出身のSaba Alizadeh は、故郷の民族楽器カマンチェに精通した実験音楽家。首都テヘランのフィールドレコーディングと伝統音楽を織り交ぜたアンビエントは、緻密さと映画のサントラのような壮大さも持ち合わせている。リラックスするために聴くようなタイプではなく、地響きのような音響や未知の文化と触れ合う高揚感がたまらない。
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11. Loraine James - For You and I

ロンドンという多様な文化が入り混じる都市のように、IDMを中心にアンビエントやグライムなどUK的な音が当たり前のように同居している。綺麗なメロディ、ビキビキと引きつるようなグリッチ、インテリジェントとは言えない言葉。どれも以前からあったが、一つに収まってはいなかった。新しいクラブミュージックの一つの形。
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10. AGI Yuzuru - Bricolage Archive_2

音源自体は五年前というのもあって躊躇していたが、一枚買ったと思ったらあっという間に四枚とも揃っていた。
YouTube(参考)


9. Byron The Aquarius - Astral Traveling

誰にでもムーディーなジャズを、セクシーなファンクを、クールなヒップホップを聴きたくなる夜があるはず。無ければこれを聴けばいい。アメリカの Byron The Aquarius の1stアルバムは、ゲストを招き、自身も歌い、このアルバムから聞こえてくるほぼ全ての楽器の演奏を自分でこなし、それらをハウスというパッケージに収め表現している。
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8. Afrikan Sciences - Centered

また今年も彼の音楽を聴いている。どの曲もドロドロとした感触で踊りにくいジャズとハウスとヒップホップの混合物。アフロフューチャリズムを中心に据え、音とリズムの探求を続けている。
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7. Space Dimension Controller - Redemption Of The Cryonauts

レトロな宇宙・SF設定をきっちりと音にもアートワークにも落とし込んでリリースするSDCが、突然(彼にしては)シンプルなアルバムを出した。表現力豊かなシンセによるレトロフューチャーなイタロディスコ、エレクトロ、ハウスで、あっという間に宇宙の彼方へ連れていってくれる。ちなみに今年はもう一枚、彼の世界観を存分に発揮させたアルバムを出していて、そちらはややアンビエント寄りでセクシーで、やっぱり良い。
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6. Leon Vynehall - DJ-Kicks

彼の昨年のアルバム『Nothing Is Still』は、今の時代性を前面に出さずにノスタルジーと高級な質感を持った作品で多くの称賛を得た。本作はその余韻そのままに、個人的なライブラリを覗いているようなゆったりとした展開が続く。そして次第にジャングルやハウスなどフロア向けのトラックをミックスさせ、一気にギアを上げるのが自身による本ミックスの為の楽曲「Ducee’s Drawbar」。これが最高オブ最高。この1曲の為のミックスCDと言ってもいいかもしれない。
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5. Afriqua - Colored

アメリカ出身のアーティストによる1stアルバム。アフリカ系アメリカ人が生み出してきた多くの音楽を紐とき、それをベースとしたテクノ、ハウスとなっている。一瞬、政治的な意味が多大に込められているのかと構えたが、もっとフラットに「色々な音楽があるんだ、もっと楽しもうぜ」的なハッピーさに溢れている。
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4. Our Lady Of The Flowers - Holiday In Thule

ダブテクノといえば Rod Modell、Rod Modell といえばダブテクノな彼の新しい活動である Our Lady Of The Flowers のデビューアルバム。彼の他5人のメンバーからなるグループだ。ギターや自作の電子楽器、チベッタンゴング、ボーカル、フィールドレコーディングなどの素材に手を加え、幾重にも重ねたキラキラと幻想的なアンビエントであると同時に、低音も地響きのように蠢いている。何やら一般的なスピーカーやヘッドホンでは再生できないほど低音のレベルが低いらしい。
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3. Carlos Casas - MUTIA

死期を迎えた象が向かうというジャングルの風景のサウンドスケープということで、スリランカでのフィールドレコーディングや無線周波数をキャプチャしたものを元に制作。空想上のジャングルでは、鳥や動物の鳴き声に水のせせらぎ、スコールに伴う雷雨、原住民による儀式の音などが長い時間をかけて現れては消えていく。限定盤では全部聞くのに4時間近くかかるので、否が応でも無になれる。
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2. Wojciech Rusin - The Funnel

ポーランドの、ヴォイチェフ・ルーシンと読むのかな。ユニット名かと思ってたら普通に個人名だった。元々演劇作品の音楽を手掛けていたらしく、本作もあるプロジェクト用に制作されたものだとか。バロック音楽的な室内楽にエレクトロニクスを混ぜ合わせ、曲によってはカタカタとした物音と電子音によるミュージックコンクレートを披露。全体的にオカルトっぽい不気味な雰囲気に仕立て上げている。独唱や合唱の歌をボコーダーで加工しているが、違和感はなく荘厳さは失われていない。今年一番好奇心を掻き立てられたアルバムだった。
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1. Madteo - Dropped Out Sunshine

この意味の分からなさ。ダンスミュージックという括りであるはずなのに、ディスコやハウス、ヒップホップ、テクノを、フリーハンドで気分の赴くままに切ったり繋いだりとまさに自由。明確な彼のスタイルというものは存在していないに等しく、軽快なハウスやテクノの直後に酷く濁ったドローンを聴かされる。
そして驚くことに、彼の言葉を借りるならば、作曲の際に2000万回は手直しをするのだそうだ。そう、ということは“フリーハンドで気分の赴くままに”作られたのではなく、かなり綿密に微調整を繰り返してこのアルバムが完成したということになる。それを踏まえてもう一度レコードに針を落とそう。やっぱり意味が分からないし、それが最高に面白い。
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