2025 年間ベストアルバム 30
2025年によく聴いたやつ。
30. Lady Gaga - MAYHEM

ヒットシングルをいくつか知っている程度だった彼女のコーチェラでのパフォーマンスを見て購入。ゴシックな世界観、ナイル・ロジャース的な80年代ポップスは好物なので普通によく聴いた。アルバムとは関係ない話をすると、配信を見ていて驚いたのが身長の低さで、アメリカのエンタメの世界では逆境でしかないと思うんだけど、そういうのを跳ねのけるエネルギーとアイデアを配信でのパフォーマンスから感じて胸を打たれた。
29. Wojciech Rusin - Honey for the Ants

自作楽器による現代電子音楽と声楽や中世ヨーロッパを思わせる楽曲が印象的な、錬金術シリーズ三部作の三作目。電子音楽化が進み、不気味な世界観は加速している。声、歌唱の割合が少し減ったかな?確か1月末のリリースでありつつ、2025年に買った最初の一枚でもあるので、この時は忙しかったなと思い出させてくれる。
28. Karen Willems - A Fools Guide To Reality

ドラマー、パーカッショニストであるベルギーの作曲家による、日常と家庭の延長線上にある音楽への探究。フィールドレコーディング、楽器、電子音、物音といった僕の好きな要素全部乗せ、かつ儀式的な響きもあったりとこんなの好きに決まっている。
27. Rivet - Peck Glamour

Sandwell Districtの新譜にも参加しているスウェーデンのアーティスト。インダストリアルテクノでありながら、チャカポコとパーカシッブな不思議なアルバム。ダンスホールやシンゲリ、パンクなどを自由に取り込み、音響やリズムに対する実験を目の当たりにしている。
26. Sa Pa - The Fool

深い霧の中にいるようなダブテクノ。まあ大体そういうものだけど、本作は動きが少ないというか範囲の狭いミニマムで繊細なイメージ。オープンイヤーのイヤホンをしながら単純作業(草むしりとか)していると、回りの音と電子音が溶け合った幻想的なひとときを味わえる。
25. Running Back Mastermix: Marcel Dettmann - Edits & Cuts

テクノ、インダストリアル、EBM、ポストパンクなミックス。最近のミックスCDは収録曲のフルサイズ版も付属していて、それ別にいらないから安くして欲しいんですが、本作はミックスよりもフルサイズ版の方が楽しめた。そもそもクオリティの高い楽曲にマルセルの手が加えられて聞き応え十分。
24. rRoxymore - Juggling Dualities

ベルリンを拠点とする彼女の音楽はテクノ、ハウス、ベースミュージックを軽やかに行き来する。本作でも不規則なリズムとサイケデリックなテクスチャ、自然由来のサンプリングが複雑に絡み合う。いつもよりニューエイジ寄りでありつつ、しっかりダンスミュージックも聴かせてくれる。
23. Margaux Gazur - Blurred Memories

フランス系ベトナム人アーティストによる、夢と現実の間を漂うようなディープハウスアルバム。終始モコモコとした音とミニマルで温かみのあるテクスチャが儚さと心地よさを与えてくれる。その没入感を持って、とらえた耳を離さない。
22. Albino Sound and Mars89 - ORGANS

Mars89のレーベルNocturnal Technologyからリリースされた、日本発のインダストリアル・ホラー・テクノ。どの曲もストーリー性があり、タイトル通りに血みどろの何かが蠢いている。過剰にも思えるサンプルにより産み出されたサウンドは、荒々しくも80'sホラーというコンセプトに忠実で思いのほか聴きやすい作品となっている。
21. Demdike Stare & Kristen Pilon - To Cut and Shoot

オタク過ぎて色々と手を広げ続けているDemdike Stareによる、ミュージシャン兼映像作家のKristen Pilonの映画のための音楽を解体&再構築。不穏な静寂と幽霊のような音響の中に、突如として鋭利なリズムや断片的な声がコラージュされる。美しいピアノの旋律も恐怖の前奏でしかない。久しぶりにダークアンビエントなDemdike Stareを耳にした。
20. GENIC - if

妻と娘がどハマりしていて、家でも車でも流れている男女混合ダンス&ボーカルグループによる疾走感あふれるアルバム。avex的なダンスミュージックを基本に、夏のライブから取り入れたバンドセットに対応しやすい曲が増えている。念願の武道館公演を終えて、活動5年の区切りとなるベストアルバムをリリースしたのでこれからどうなっていくのかが楽しみ。2025年Spotifyまとめのトップアーティスト。
19. DARKSIDE - Nothing

Nicolas Jaarの『Piedras』がめちゃくちゃ良くて、3rdアルバムにして初めてちゃんと聴いた。セクシーさとメランコリックな空気の漂う、想像していたよりトラディショナルな世界観。何となくボーカルやギターが歪んでいることが多く、電子音やドラムがクリアであったりのバランスが絶妙で、荒さの中にグルーヴが隠された知的で踊れるバンドサウンド。
18. HiTech - HONEYPAQQ Vol. 1

良くも悪くもいつも通りのデトロイトのジット、ゲットーテック。ベースミュージック、ヒップホップ、ハウス、ジャズを飲み込みながら14曲を30分程度で駆け抜けるスピード、テンションの高さ、ほとばしるエネルギーを感じつつも同時にメロウなしっとり感もあり聴き疲れしない中毒性の高い一枚。
17. Carrier - Rhythm Immortal

Shiftedとしてのハードなテクノの精神を脇に置き、フロア向けとは言い難いリズムの反復と無機質なマシンサウンド。言葉にしてしまえばアンビエントなダブテクノではあるけど、このストイックさは唯一無二では。アルバムが出ることも、出たとしてこんなサウンドになることも想像してなかった。
16. Modeselektor - DJ-Kicks: Modeselektor

良い意味でのチャラさが彼らの持ち味であると思っていて、ジャンルを縦横無尽に駆け巡るカオスでハッピーなミックスとなっている。ヒップホップ、テクノ、ロック、ベースミュージックが渾然一体となっていてただただ楽しい。Slikback、Aho Ssan、Little Simz、Ben Klock、Beirut、Untoldなどなど。これらの名前にピンと来たら是非聴いてみて欲しい。
15. Low Jack - Lacrimosa

一瞬同名の別アーティストの作品かと思ったLow Jackの新作。インダストリアル、ダンスホールが彼の代名詞であったが、本作では多くのゲストを招いて歌唱を主体とした宗教音楽を表現。他のアーティストではただのノイズとなりそうな不協和音も、彼のこれまでの活動を考えれば説得力は充分。でもまた彼のダンスホール作品聴きたいなあ。
14. Al Wootton - Rhythm Archives

Valentina Magalettiらと共にHoly Tongueとしても活動するAl Woottonのセンスが生かされたアルバム。オーストラリアのスタジオに眠るヴィンテージ・ドラムマシンの音源を録音。使い古されたリズムを、インダストリアルやダブ、ポストパンクへと再構築。ほぼ肉付けのされていない簡素なサウンドながらとても興味深い作品となっている。
13. Call Super - A Rhythm Protects One

ミックスCDという絶滅危惧種を復活させるという目論見でリリースされた本作もまた、ミックスよりもフル尺の曲単体の方が好きで…。使用楽曲が12曲と少なく、矢継ぎ早に繋ぐタイプではないミックスはディープハウス、ミニマルハウス、テックハウスと相性が良い。使用楽曲に統一感があり、全編を通して跳ねるようなパーカッションなどによる浮遊感もあってダンスにもリスニングにも適している。
12. Paul St. Hilaire - w/ The Producers

Tikimanの名でも知られるレゲエ、ダブ、テクノ界の大御所によるチャレンジングな一枚。彼のスモーキーな歌声が、気鋭のアーティストたちによるトラックの上を浮遊している。圧倒的個性により、どのトラックに乗っても存在感は揺るがない。参加アーティスト全員好きなのでとても楽しめた。
11. Voices From The Lake - II

Donato DozzyとNeelによるディープテクノ、アンビエントテクノの金字塔的アルバムの13年ぶりの続編。ruralがきっかけであることから分かるように、一聴しただけで目の前に広がる森や湖の景色。みずみずしさとオーガニックな質感が、アンビエントであると同時にダンスミュージックとしても聴ける強度を持っている。
10. Madteo - Misto Atmosferico E Ad Azione Diretta

NYを拠点とするMadteoの4年ぶりとなるアルバム。サンプリングを多用しすぎた幻惑的なローファイ(過ぎる)ハウスは健在、というかハウスなのかこれは。こちらの健康状態によって傑作とも駄作とも言えそうではある。この生々しくもサイケデリックなサウンドは、今のご時世ではMadteo(とJamal Moss)からしか得られないのでは。
9. Lucrecia Dalt - A Danger to Ourselves

コロンビア出身の彼女が描くのは、自身のルーツである南米音楽的な要素を存分に活かした人間関係の歌。彼女の作品にしてはポップかもしれないが、平均よりかなり不気味であり官能的。Jポップのようにむやみにストリングス使わず、必要なところのみっていうバランス感覚も良い。映画のサントラっぽいというより、アルバム自体が映画的な一塊の作品。
8. 星野源 - Gen

評判が良いので聴いてみたくなった。これまで歌も演技も気にしたことはなかったけれど、パブリックイメージとは違う本作は人間味があり惹かれるものがある。アップテンポな曲でも歌い方が楽しそうじゃないのが良い。彼のブラックミュージック愛とJ-ポップとしての親しみやすさが融合した一枚だと思う。
7. DJ ojo - Total Internal Reflection

ロンドンを拠点とするDJによるデビューアルバム。1stにしては地味で渋くてビビる。ミニマルなベースミュージックともダブテクノとも言えそうなエレクトロニックミュージックで、アートワークの爽やかさとは裏腹に無機質な音響とポリリズムに心が奪われる。
6. Pan Afrikan Peoples Arkestra Led by Horace Tapscott - Live at Widney High December 26th, 1971

ジャズを聴くようになって、スピリチュアルジャズが好みかもということが分かってきた。1971年の空気感をそのまま閉じ込めたような生々しいエネルギーから、即興演奏の熱量がダイレクトに伝わってくる。
5. fka boursin - Cowboys Don't Cry

繊細で朧気なディープハウスを得意とするfka boursinのミックステープ。A面には彼の諸作の源泉となっていそうな、ゆったりとしたジャズやクラシック、カントリーが紡がれ時間は溶けていく。B面ではそれらを引き継ぎつつ次第にアンビエントやハウスへと変化し、より現代的なサウンドに移ろう。何でもない時間に流すBGMとして重宝した。
4. SML - How You Been

2024年の好評を博した1stアルバムがピンと来なかったので、これはnot for meかと思いきや本作は聴いた瞬間に刺さった。ライブレコーディングされた即興演奏を再構築とのことで、緊張感もあればリラックスした雰囲気もあり、とても聴きやすく整理されているように思う。リズム?グルーヴ?何がこんなに刺さるんだろう。
3. Jacob Kirkegaard - Snowblind

アートワークとタイトル、彼の諸作の影響から、延々と続く荒れた極寒の大地が頭に浮かんでしまうが、本作はもっとインダストリアルなアルバムに思えた。ただそこにあるだけの巨大な鉄の塊であったり構造物を前に、なす術もない状態に置かれているような感覚。どちらも人の手には負えないという意味では同じだが、人工物であるがゆえ、何か意味や意思がありそうで惹きつけられる。
2. John Also Bennett - Στον Ελαιώνα - Ston Elaióna

アテネのスタジオで録音されたアンビエント作品。電子音を背景にしてフルートの音色と環境音が前面に広がる、日常の喧騒から離れた静寂の時間。豊かなバスフルートの低音とゆったりとしたメロディを聴いていると、贅沢な時間の使い方してるなー感が凄い。
1. Sara Udon - II = II

CS + KremeとKAKUHANによるユニット。CS + Kremeは去年のアルバムでようやく好きになったのに、本作で解散してしまうらしい。微細な電子音のノイズとベース、ドラム、チェロが織りなす4人のセッション。音数は限られているにもかかわらず、蒸気のように現れては消えていく残響が気持ち良くて延々と聴いていられる。

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